(1)左右の上腕線がほぼ平行になるようにしながら押し手のひじを引きます。
(2)ちょうど押し手の肩口のところまでグリップを持っていきます。
(3)肩とグリップの間は、握りこぶし2つ分程空けます。
(4)両ひじはグリップの位置がずれないようにするだけで、それ以上の力は使 いません。
(5)肩に力が入らないように注意しましょう。
ひじを絞ると(両ひじを近付け過ぎると)
「こねるスイングになる」(写真(1))
上腕線がV字型になるひじを絞った形の持ち方をする人がいますが、果たしてどのような効果があるのでしょうか?
※上腕線は、肩の先端からひじを結ぶ線です。
ひじを絞る=上腕部を内側へ引き寄せる筋肉は、大胸筋(だいきょうきん)です。大胸筋は胸に広範囲に付いていて、野球に限らず多くのス ポーツでよく鍛えられており、発達しています。大胸筋を緊張させることでひじが絞り込まれるのですが、そのような力みは構えている時に全く不要です。
●大胸筋によって胸が締め付けられるので上半身が硬直(こうちょく)します。
●いろいろな動作をするにしても動きにくくなります。
●ひじを絞り込むとグリップの手首が返って、手の甲が返ります。
●この握りではバットを振りに行くと押し手が早く返り過ぎて、こねるスイングになります。
ひじを張ると(両ひじを離し過ぎると)
「バックスイングをとるのが困難になる」(写真(2))
ひじを張る=バットを押し手の肩口まで持っていきますが、この時押し手のひじを引き過ぎて(よりキャッチャー側へ)ひじが張った状態になってしまうことがよくあります。
実際の試合中にひじを引き方を目で確認しながらというのはなかなか難しいことです。
●上腕線が肩と水平になると、ひじが張ってしまっている。
●バックスイングをとることが難しくなります。
●肩に力が入らなければ、このようにひじが張るという現象は起こりません。
●バットを肩口まで持ってきたら肩を上げ下げしてリラックスしましょう。
●肩がリラックスできたら、ひじの引き具合もちょうどよくなるはずです。
投手方向にバットが倒れると → 「バランスが崩れる」
(写真(3))
解説: バットの形状は、グリップ側が細くヘッド側が太くなっています。つまり、バットの材質がヘッド側にたくさん使われているため、 ヘッド側が重くなっています。物体には形状によって重さの中心となる重心位置というものがあります。バットの場合は、バットを指一本でバランスのとれる位 置が重心位置です。これは、バットの重さがその重心位置に集中していることを表しています。
アドバイス1: バットのヘッドが投手方向に向くと、バット重心がずいぶん前の方に位置します。
アドバイス2: その分、体が前のめりになり、前足にかかる重さも多くなります。
アドバイス3: 突っ込んだ構えと同様、反動動作に余分な時間がかかります。
アドバイス4: バックスイングでのバットの移動距離が非常に長くなります。
アドバイス5: 時間の問題だけでなく途中でバランスを崩す恐れもあります。
肩にかついでバットを寝かせると → 「背中から引っ張られているのと同じ」(写真(4))
解説:バットを肩にかついで寝かせるとバットの重心が背後(はいご)に突き出てしまいます。これではせっかく前傾(ぜんけい)してもバットの重み分、前傾効果が薄れてしまいます。背中を引っ張られているのと同じです。