先回の「2.内野手の構え」では、捕球の前には基本的な構えをしっかりとること、腰を低くしてどこへでも動けるように常に体勢を作っておくことを教えました。
内野手が処理する打球のほとんどはゴロです。このゴロを確実に捕球しなければいくら強肩俊足でも宝の持ち腐れとなります。よいスタートから打球の正面に入り、さまざまなバウンドにあわせられるように体で覚えましょう。
ゴロ捕球のための練習方法も参考にしてください。
打球に対して、打球から目を離さず自然体を保ちながら低い姿勢でボールに向かって
前進してください。バウンドを合わせ、捕りやすい位置で捕球します。(図1参照)
もしバウンドが合わない時は、後ろに下がるよりも前に出るのが原則です。
(1)ゴロを捕る時は左足をやや前に出し、右足を後ろにして、腕とグラブを体の前に出し体の正面で捕るよ うにします。この時素手でボールを捕る感覚で五本の指で捕るようにグラブの中心で捕球してください。
(2)腕は一旦伸ばして軽く曲げる程度で伸ばしてください。強いゴロの場合、腕をのばしていることによって捕球の際ボール自体の重さでボールの勢いを殺すためです。
(3)低いゴロの捕球には体を低く下ろしますが、その時、背中は地面と平行にしてください。
(4)両手を下からゆるやかに引き上げるようにして柔らかく捕球します。グラブに右手を添え、その右手でグラブにふたをするようにしてボールを握ります。正面から見ると、ちょうどワニが口を開けたような格好ですね。こうすれば、正確性が増し、素早く送球体制に入れます。
(5)送球にすみやかに移るために、グラブの中でしっかりボールを握り替えましょう。ボールがグラブの中に入るのを目でしっかり確認してから、目標を見て送球します。送球を焦って、打球から目を離すのは禁物です。(写真4参照)
逆シングルでない限り、グラブの近くにもう片方の手を添えてください。まず足を動かして出来る限り正面でボールを捕球できるように早く移動するようにしましょう。
フライの捕球は比較的簡単ですが、譲り合って捕球できない場合せっかくとれるはずのワンアウトがムダになり、ピッチャーに精神的なプレッシャーがかかります。
(1)ポップフライを含む内野フライでは、まずその落下点に素早く入ることが肝要です。
(2)落下地点に入ったら肩の力を抜き、打球から目を離さずヒザは軽く曲げて落下を待ちます。素早く前方斜め前にグラブを出して構えをとりましょう。
(3)両足は揃えないで、どちらかの足を前に出してグラブに右手を添えて捕ることが大切です。グラブの位置は正面(左手捕球の場合はやや左寄り、右手捕球はやや右寄り)です。
(写真5参照)
原則として、一塁後方のフライは二塁手の守備範囲、三塁手後方のフライは遊撃手の守備範囲、内野と外野の中間に上がったフライは、基本的には前進してくる外野手のほうが捕りやすいのですが、「OK!」の声がかかるまで内野手が捕るつもりで全力で背走します。外野手を含めて野手の中間に上がったフライは大きな声で連呼し、あるいは腕を大きく回して自分が捕ることを宣言します。ボールに集中し、途中でボールから目を離さないようにしてください。練習の時から実戦を想定した「声の連携」を心がけましょう。
試合前のファウルグラウンドの広さの確認は、フェンス近くのファウルフライを安全に余裕をもって捕球するために必要となります。また、各イニング毎に確認が必要なのは、太陽の位置や風の方向です。
これから紹介する練習方法は、すべてひとりだけで簡単にできるものです。とにかく毎日ボールを握る、グラブを持つことが大切です。
(1)かべ打ち(写真6)
私が現役を引退してすでに26年が過ぎましたが、マスターズリーグや親善試合など今でも試合前に必ず実行する練習があります。それは、グランウンドのフェ ンスに向かってボールを投げる、いわゆる「かべ打ち」です。これは、ボールのバウンドに対する体の反応を確認(一歩目のスタートとバウンドをあわせる)す ることと、スナップだけで投げる練習をしています。ノンステップのかべ打ちもやりますが、いずれも一人でできる練習ですのでぜひ毎日実践してみてくださ い。
(2)素手捕球 (写真7)
ボールを正面で捕球するための練習としては、素手での捕球をおすすめします。これもひとりで3m程度の近距離から壁に向かってはじめは正面だけ、慣れてく れば多少角度をつければ左右への反応やステップして正面に入る練習もできます。素手捕球は正面で右手を添えないとうまくキャッチできませんし、もちろん ボールをしっかり最後まで見るくせがつきます。
(3)グラブ打ち (写真8)
グラウンド以外でも自宅で簡単にできる練習があります。「グラブ打ち」はグラブとボールさえあれば一人でできますが、この目的はスナップスローの練習とグ ラブの中に収める感覚と素早い握りの確認のためです。最初はゆっくりと握りを確認しながら、徐々に早くして繰り返してください。