「選手が構えの状態で行うことは、投手を観察し次の動作を開始するタイミングを読み取ること」
そのためには、心も体もリラックスした状態を保つ必要があります。姿勢が悪いと、どこかに無駄な力が入り、脳に必要の無い刺激が伝わるためリラックスできません。
構えは、バランスよく、しかも次の動作が行いやすい体勢でいることが重要であり、構えはバッティング動作の出発点です。ここで悪い状態になっているとその後の動作にも影響して良いバッティングができません。
スタンスは?
(1)両足の内側が肩幅になる程度に開きます。
(2)ひざは軽く曲げます。
※ひざが伸びていると始動が遅れてしまいます。
(3)グリップは、押し手のひじを後方へ引き、引き手を押し手の肩口で自然にバットを握れる位置に置きます。
※「押し手」=左打者の左手、右打者の右手
※「引き手」=左打者の右手、右打者の左手
(4)押し手は、なにげなく傘を持つ気持ちでバットを持ちます。
体重は?
(1)左右の足に均等にわけるようにします。
※重心を体の中心に置くと無駄な力が入りにくくなります。
※バッターズボックスの線に対し、足線・腰線・肩線が並行になっていることもリラックスするコツです。
これらの線が平行でないと、体が曲がってそれを支えるために無駄な力が入ってしまいます。
(2)これらの線(足線・腰線・肩線)をピッチャー方向へ向けることが基本です。
※ボールをバットの芯(しん)でとらえる中心衝突を考えたとき、体の回転量が調整しやすくなります。
(3)体の軸の前後関係では、やや前に倒します。
※人が素早い動きを行う前の姿勢は、すべてかかとを少し浮かした状態にします。
柔道の自然体・卓球の構え・剣道やなぎなたの構えもすべて前傾の姿勢をとります
目線は?
(1)ピッチャーをよく観察するためには顔(目線)を正面に向けることが理想です。
※自然な構えでそこまでは難しいため、体に無理のない範囲で顔を向けることを心掛けましょう。
完全に正面を向けると、種田選手(現.西武ライオンズ)のように特殊な構えになります。
以上のようにリラックスした安定感のある構えは、ピッチャーに対してドッシリとした印象を与えるでしょう!
野球のバッティング動作は?
構え → ステップ → スイング → インパクト → フォロー
以上の5動作に分けられます。
それぞれの動作には、確実にボールをとらえるための重要な要点がかくされています。
この連続写真は、各動作ごとの要点を正確に行える中日ドラゴンズOBの川又さんの水平打法(レベルスイング)です。この野球教室では、この水平打法を基本において動作を解剖し、各動作の要点を解説しましょう!
※水平打法=球道に対して水平にバットを振ります。決して、地面に対し水平に振る打法ではありません。
スタンスの幅
●狭すぎるスタンスは安定しません!
足を開いて立ち、足裏の親指から、かかとまでの内側で地面を押すと、バランスがとりやすくなるのです が、写真(1)のように肩幅よりも狭くなると地面を押す力は真下に向いてしまい、棒が立っている状態と同じで不安定になってしまいます。また、これまでの 経験から、狭いスタンスからバッティングを行うとステップが大きくなりがちで目線のぶれが大きくなります。
●広すぎるスタンスは時間がかかります!
写真(2)のように広すぎる場合は、反動動作に時間が掛ってバッティングが遅れる原因になります。つまり、安定しすぎ!なわけです。どのようなスポーツも静止の状態から勢いよく動き始める時に反動動作を使います。反動動作はいったん目的の方向とは逆の方向に動くことです。こうすることによって、目的の方向に対してより強い力を発揮して結果的に速く動くことができます。しかし、広すぎるスタンスでは、軸足(左打者の左足)に体重を移すのに時間がかかりすぎてしまうことや、距離が長くなって反動動作中にバランスをくずす恐れもあります。
※反動動作=反対の方向に働く力
上半身の姿勢
悪い構え
●投手側の肩が下がって上半身が突っ込んだ姿勢。(写真(3))
●投手側の肩が上がって上半身が引いた姿勢。(写真(4))
●投手側の肩が下がって上半身が突っ込んだ姿勢。
突っ込んだ姿勢で構えると前足に体重が多くかかって、反動動作が十分できなかったり、時間が かかる原因になります。この状態のままスイングするとバットの振り下ろしが強くなって、下半身が使えず上半身だけのスイングになってしまいます。伸びてい る側の筋肉が肩を引き上げているか、縮んでいる側の筋肉が収縮しているか、いずれにしても無駄な筋肉に緊張があって、リラックスできません。目線も上目遣 いでピッチャーに正対できないのでボールが見にくくなります。