構え → ステップ → スイング → インパクト → フォロー
以上の5動作に分けられます。
それぞれの動作には、確実にボールをとらえるための重要な要点が隠されています。
この連続写真は、各動作ごとの要点を正確に行える中日ドラゴンズOBの川又さんの水平打法(レベルスイング)です。この野球教室では、この水平打法を基本において動作を解剖し、各動作の要点を解説しましょう!
※水平打法=球道に対して水平にバットを振ります。決して、地面に対し水平に振る打法ではありません
タイミングの取り方は2種類
●強打タイプ
●ミートタイプ
☆ピッチャーの手からボールがリリースしてミートポイントに達するまでのボールの飛距離を17mとした場合
球速時速140km 0.44秒
球速時速130km 0.47秒
上記スピードは、0.03秒差になります。この0.03秒を距離に表すと、約1mの差となります。
いつも同じタイミングで同じスイングをしていては、ボールが来る前にバットを振ることになってしまいます。そうかといってバットスピードを急に速めること はできないし、遅くすると強い打球が打てません。この一瞬の間(ま)の計り方が命運を左右します。さて、この一瞬の間をどのように調整しているのでしょう か。
木俣氏の場合 (図 参照)
(1)距離17mの3分の1(選球エリア)あたりで、球種やコースの絞り込みをします。
・ここでの絞り込みが甘いと、その後の微調整が大変難しくなります。
・この選球エリアをボールが通過する時間は、スピードによって以下のようになります。
球速150kmの場合 0.14秒
球速100kmの場合 0.2秒
(2)選球エリアだけでボールを判断しているのではありません。
・それまでの配球パターン
・投手の得意球
・投手の調子※バッターボックスに立つ前からあれこれと考えながら次の投球を予測しています。この予測が的中するかしないかが、この選球エリアで重要です。
(3)的を絞って「この辺にこんなボールがくる」と予測しながらボールを観察していると、予測が外れてもその外れ方によって球種やコースを特定しやすくなります。
「予測が的中した場合」
(1)「しめた!」という感じでフルスイングを開始します。
(2)その後、ボールを目で追い引き手で少し誘導しながらバットをミートポイントへ持っていきます。
∟スイング開始からミートポイントまでは、0.2秒程度しかありません。
※選球エリアでの絞り込みが甘いと振り遅れになったり、フルスイングできなくなったりするので、選球エリアでの判断がとても重要になります。
●投手のリリースからの短時間でタイミングを調整するのですが、その取り方は2種類に分けることができます。
「強打タイプ」
・本来のスイングを生かして、常に強打(強いスイング)を目指すタイプ
・できるだけ速く判断して、フルスイングします。
「ミートタイプ」
・強打よりもミートを重視するタイプ
・できるだけ遅く判断して的確にミートします。
・打率を上げる打者
木俣氏の場合、どちらかというと強打タイプです。本来ならば両方できることが望ましいのですが、なかなか難しいことだと思います。強打タイプが基本であり、ミートタイプは応用と考えています。
●木俣氏の場合、低く構えたグリップを、スイング開始前に少し引き上げてから振り出します。速いボールの場合は、このグリップの引き上げを素早くし、遅い ボールはゆっくりしてタイミングを取っていました。しかし、木俣氏のバッティング打法はここで紹介している水平打法の基本から外れています。水平打法に応 用すれば、テークバックでグリップを後方に引く速さで調整することも考えられます。
写真(1)
川又氏の場合、後ろ足に体重を乗せる時間を変えて、後ろ足で強くける時期を調節します。このけりから爆発的なスイングが始まるので、けり出してからの調節は難しくなります。川又氏の場合は、強打タイプの最も基本的なタイミングの計り方だと思います。
写真(2)
川又氏に仁村打法をまねしてもらっています。中日ドラゴンズOB仁村 徹氏の現役時代は、ステップした前足のかかとを下ろすときに、一気に地面に着ける か、やや時間をおいて着けるかで調整します。かかとを着けるタイミングとスイングの開始が連動しています。前足のかかとが着くと後ろ足のけりが始まりスイ ングが開始されます。
☆強打タイプは、後ろ足をけり出す直前にタイミングを調節していますので、爆発的なスイング過程はそのまま残ります。但し、フルスイングが始まるとボール を見ながら調整し難くなりますので、選球エリアでの判断が大きくずれていると対応が難しくなります。そのような場合、木俣氏はファウルで逃げました。