バントしたボールは当然のことながら相手の守備がしずらいところへ落とさなければなりません。もし正直にピッチャーの真正面や内野手の正面に強いバントをした場合、ランナーを進塁させることができません。
打球の落とし所は、ランナーの位置やアウトカウント、相手の守備隊形によって変わってきますが、基本的な打球を転がす場所狙いどころを説明しましょう。
このポイントは、右方向の一塁線寄りとか左方向三塁線寄りなどに打球を落とすコントロール方法なんですが、バットの角度と当てるポイントで決まります。 (図1)ややもするとバッティング練習の中でのバント練習はおなざりになっていませんか。私は練習の成果により落とし所のポイントに100%球を運ぶ自信 があります。
セーフティバントの成功は足の速さよりも、この球の落としどころで決まるといっても過言ではありません。
私のセーフティバントの狙いどころは、バッターボックスから1m以内で三塁線寄りラインから30cm~35cm内側です。
ここに打球を落とせば100%セーフティバントは決まりました。そのためのバント練習は、マンツーマン、ピッチングマシンなど毎日しっかり実践してからだ にしみつかせたつもりです。中日ドラゴンズでバント名人といえばバント世界記録保持者の川相コーチです。彼はいとも簡単に送りバントを決めていますが、そ こに至るまでの苦労、練習は人並みではなかったはずです。
基本となる犠牲バントについては解説しましたが、ほかにもいくつか種類がありますので紹介しましょう。
なお、メジャーリーグの世界ではバントの種類分けが日本とは若干違いますが、ここでは日本流で分けたいと思います。
犠牲バントの場合ストライクゾーンにきた球だけを確実に転がしボールは見送るのですが、スクイズバントは三塁走者がホームへスタートを切っているわけですら、たとえ大きくはずされたボールでもどんな球でも当てて転がさなければなりません。
ピッチドアウトされスクイズバントが失敗したら、三塁走者が三本間に挟まれてせっかくのランナーが憤死してしまいます。
最近では、見破られた時のリスクが大きいので、打球がいいところに転がったのを確認してから走者がスタートを切るセーフティ・スクイズもみられます。
プロ野球でも極端に浅いバントシフトがひかれるケース(ブルドッグというそうです)がありますが、そんな時素直に送りバントで打球を殺すと逆に二塁、または三塁でランナーフォースアウトになりかねないため強い打球で転がして前進守備を抜くバントがあります。
投手と一塁手の間を狙うバントで二塁手に処理させるために敢えて強く転がすのが、このプッシュバントです。(図3)
私のバットの握り方でいけば、送りバントでボールの勢いを殺すために指とバットのすき間を作るのですが、プッシュバントのときはすき間なしでそのままバッ トを握ります。(写真2) そのため、守備のほうからは普通の送りバントとしか見えないためだましやすく、瞬時にプッシュバントに変更が可能です。