構え → ステップ → スイング → インパクト → フォロー
以上の5動作に分けられます。
それぞれの動作には、確実にボールをとらえるための重要な要点が隠されています。
この連続写真は、各動作ごとの要点を正確に行える中日ドラゴンズOBの川又さんの水平打法(レベルスイング)です。この野球教室では、この水平打法を基本において動作を解剖し、各動作の要点を解説しましょう!
※水平打法=球道に対して水平にバットを振ります。決して、地面に対し水平に振る打法ではありません
水平打法の高さへの対応について説明しましょう。
真ん中のボールに対しては、これまで見てきたようにバットもほぼ水平になっていました。そこで、あ たかもバットを水平にするのが水平打法かと思うかも知れません。しかし、そうではなく、高いボールに対しては高い位置に、低いボールに関しては低い位置に バットの芯と呼ばれる打撃に適した場所を合わせ、その場所でボールを迎え撃つのが水平打法です。
(写真(1)を参照。)
○ランプが光ったらスイッチを押すという動作をどれくらいの早さで対応出来るか?
⇒約0.1~0.2秒
目で見て → 脳で判断して → 筋肉に指令が伝達されるまでの時間です。
このような何かに対して反応する時間の早さを反応時間と言います。
*反応時間の測定には、上下左右の矢印型ランプが点灯し、これに合わせて前後左右の台に飛び移るというような複雑な測定方法もあります。
このように対応の種類(選択肢(せんたくし))がいくつか設けられたものを選択反応時間と呼び、選択肢が3種類から4種類あれば、約0.3~0.5秒になります。
○ピッチャーの手から離れたボールがホームベースに差しかかる時間
時速150kmの場合 ⇒ 約0.4秒
時速125kmの場合 ⇒ 約0.5秒
※プロ野球選手は、ボールがピッチャーの手から離れた瞬間から約0.1秒くらいで、打つか打たないかを感じとって、残りの0.3~0.4秒で調整していると考えられます。
○短い時間でピッチャーが投げたボールの高低に対応するコツ
高めのボールの場合 ⇒ 前のひじが伸びきらないうちに、バットのヘッドが高い位置にあるままスイングします。
※高めのミートポイントは体に近くなります。
低めのボールの場合 ⇒ 前の腕は伸ばし、ヘッドをグリップの位置より低くします。
※低めのミートポイントは投手寄りになります。
※スイングの初期、グリップを引き下ろすところまでは水平打法の基本通りです。ボールの高低に対し、グリップの高低を合わせる必要はありません。
ピッチャーは、たくみに内角・外角を攻めてきます。この時、まず、ミートポイントを意識します。内角球を流し打ちすることや外角球を引っ張るという不自然なスイングはあまり考えない方が良いでしょう。キャッチャーから見て、右に来たボールは右へ、左に来たボールは左へ打ち返すのが自然なやり方です。素直に打ち返すためにはミートポイントの位置が大切です。
内角の場合
体の近くを球道が通りますので、バットの撃芯(しん)も体に近づけなければなりません。バットを引き寄せるわけです。ただし、バットを引き寄せただけでは撃芯ではなく手元寄りで打ってしまいます。内角球の軌道にバットの撃芯を合わせるには、さらにミートポイントを前に出すことが必要です。
外角の場合
軌道が体から離れますので、バットの撃芯を体から離さなければならず、内角球の場合とは反対にスイング時間が長くなります。したがって、ミートポイントは後ろに下がります。
写真(2): 参考までに打者の視線に近いところから各コースのミートポイントを撮影したもですが、頭で隠れてしまう為、やや後方からの撮影になって、ずれ方が大きく見えます。ミートポイントの違いは上から見た図で示したとおりです。
内角のボールに対してバットを引き寄せる場合も外角へ伸ばす場合も、振りはじめのタイミングをずらすのではなく、同じように振り出してひじの使い方で調整します。
内角の場合
引き手のひじを伸ばします。
外角の場合
引き手(前の腕)のひじを脇腹に沿って引き込みます。このようなひじの使い方を「たたみ込む」と言います。脇を開いてひじを抜くような使い方はいけません。
ボールの芯の下といっても、プロ野球などの高いレベルのお話です。
基本的には、ボールの真ん中を打つつもりで構いません。
解説:それは、バットの回転半径に関係があります。みなさんは、フィギュアスケートをご覧になったことがありますか。演技者の回転が、速くなったり遅くなったりと、自由にスピードを変えているのに驚かれると思いますが、どうやっているのでしょう。回転しながら手や足を広げると遅くなり、手や足をすぼめる(体軸に近づける)と速くなるのです。このように回転軸から重さのあるものが遠ざかると全体の回転スピードが遅くなり、近づくと速くなります。
解説2: 打撃でも同じです。内角球に対してひじをたたみ込むことで回転軸にバットの重さが近づいて体全体の回転スピードが速まります。この結果、同じ振り出しでも真ん中の時よりもミートポイントが前に出ます。逆に外角球に対してひじを伸ばすと、今度はバットの重さが回転軸から遠ざかるため体全体の回転スピードが遅くなりミートポイントが後退します。ただし、バットそのもののスピードはそれまでの加速で決まりますのであまり変わりません。
※引き手のひじで調整するだけで内角・外角に対応でき、しかもその結果はコースに素直な打ち返しになっています。
これがここで紹介している木俣理論水平打法の良さです。