キャッチャーの役割は、ピッチャーの投げたボールを捕球するだけでなく、盗塁やヒットエンドランを阻止したり、バントやキャッチャーフライの処理をするなど、多くの役割を担っています。
また、キャッチャーは守備全体が見渡せるため、得点を防ぐための守備体系を指示することも大切な役割です。中でも頻度の高いプレーは捕球であり、このときピッチャーが投げやすい構えをとる必要があります。さらに、ワンバウンド処理や送球へと反応しやすい構えが重要となります。
そのためには、心も体もリラックスした状態を保つ必要があります。姿勢が悪いとどこかに無駄な力が入り、脳に必要の無い刺激が伝わるためリラックスできません。
写真1aは基本の構えです。足は肩幅よりもやや広め(1足長半)に開き、ミットを持つ側の足を1足程度前に出して、足先はヒザの向く方向と同じにします。
写真1bは基本的な構えを横から見たところでaす。右足のかかとはやや浮かし、もっとも楽な姿勢になるように腰を落とします。左足は足裏全体で踏みしめるようにし、右足は拇指球に体重をかけます。
右足に6割、左足に4割程度の体重配分となります。肘はヒザの内側に入れず、ヒザの上にのあるようにします。また、キャッチャーミットを体の中心よりやや右に置きます。背筋は伸ばして、肩はリラックスし、ピッチャーに目線を向けます。
ボールを受けるときは、写真1bの下段のようにミットを少し押し出す気持ちで捕球します。
バランスが保てる範囲は支えている面積の広さに左右され、その面積のことを基底面といいます。重心が基底面から飛び出すと体は倒れやすくなってしまいます。
キャッチャーが足先を45度に開いた場合、両足をまっすぐ前向きにそろえた場合、45度以上に開いた場合の3通りについて考えてみましょう。
45度に開いた(1)は、前後方向が(2)よりやや前後の幅が狭くなります。
一方、(2)は左右の幅が小さくなっています。
また、(3)は左右に広いが前後に狭くなります。
基底面の辺が短いとその方向への安定が悪くなります。
また、足を開きすぎると脚への負担が増して長時間座っていられなくなります。
一番楽でより安定したスタンスをとるならば、(1)の45度程度に足先を開くのがよいでしょう。
写真2は足先を開きすぎた悪い例、写真3は足先を閉じすぎた悪い例です。どちらの場合もしゃがんでいる状態でのバランスがとりにくく、特に盗塁を阻止するために立ち上がって投げようとするとバランスを崩したり、地面をしっかり蹴ることができないために投球ステップがしにくくなります。また、写真4は肘をヒザの内側に入れた悪い例です。この場合は右バッターのインコースへの捕球が写真5のように窮屈になり、さらにそれたインコースとなると写真6のようにヒザが邪魔になります。このように肘をヒザの内側に入れた構えは、ミットコントロールがしにくく、捕球しにくいことがわりますね。