インコース・アウトコース、高め・低めなどキャッチャーの捕球するボールはピッチャーからいろいろなコースに投げられてきます。これらのボールを後逸せずに捕球しなければなりません。サイン通りの場合にはあらかじめ準備しやすいのですが、サインと異なったボールが投げられる場合もあります。その場合一般的にピッチャーの手をボールが離れてからわずか0.5秒程度の時間で反応しなければなりません。
人間の反応時間は約0.3秒で、判断が必要になると0.5秒以上かかります。
キャッチャーの反応はギリギリの状況にあり、このようなとっさの場合でも的確な捕球ができるようにしていかなくてはなりません。
また、ピッチャーの投げるボールは直球だけではなく、フォークボールなどさまざまな球種を投げてきますので、しっかりボールを押さえてキャッチしなければなりません。
右バッターのインコースへボールがきた場合は写真12のように、アウトコースの場合は写真13のようにミットを移動させますが、いずれの場合もミットだけを持っていくとミットが弾かれることがあります。
インコースの場合は左足に体重をのせながら、アウトコースの場合は右足に体重を移動させながら、体ごとミットを移動させるようにします。アウトコースの場合に注意することは、後ろの右足に体重を移すときに後傾せず、むしろ前傾するように体を移動させることです。
インコース高めならば、写真14のように右足で体重を支えながらミットを高く上げます。アウトコース低めの場合は、写真15のようにミットを開いてすくうように出します。そして右手でミットをカバーします。
ワンバウンドにもいろいろありますが、ここでは正面のワンバウンドへの対処方法について説明しましょう。
正面のワンバウンドに対しては、写真16の(1)のように腰を低く落として、ミットを使ってボールがすり抜けるすきまを作らない捕球姿勢をとらなければなりません。
ボールを後逸すればランナーは進塁してしまいますので、何が何でも前に落とすという気持ちで対応しなければなりません。
ワンバウンドを察知したらヒザを落とすのですが、構えの状態からヒザを前に出してヒザをつくのではなく、構えているときのヒザの位置の真下(写真16の(2)で福田さんが手を置いている位置)に落とすイメージです。
さらに、ヒザを真下よりも後方へ下ろすことで、ボールの勢いを吸収できます。
また、両足首はヒザを落とすと同時に写真16の(3)のように伸ばします。
足首を立てていると写真16の(4)のように腰が高くなり股の間のすきまが大きくなります。足首を伸ばすことによって、よりヒザが曲がって腰が下がりすきまのない捕球体勢がとれます。
ミットは股の間のすきまを埋める位置に大きく開いてボールを待ちます。キャッチしようとすると、どうしてもミットが閉じてしまい、ボールが股の間を抜けることが多くなります。
ワンバウンドの場合はボールの弾み方が予測しにくいため、からだ全体で受け止める体勢をとらなければならないので、インコースでもアウトコースでもなるべくボールの正面にまわりこんで同じように捕球姿勢をとるのがよいでしょう。
アウトコースに外れるボールは、まず、写真17の(2)のように左足のヒザをアウトコースに寄せて地面にヒザをつき、このヒザを軸にして体を回転させながら右足を前に持ってきます。捕球時は体が前を向いているほうがよいでしょう。体が斜めの状態で捕球すると、ボールを逃すことが多くなります。
アメリカではまず右足のヒザをつくように指導されます。しかし、写真18のように右足のヒザもついてしまうと、ボールが予想以上にそれたときは反応できず、結局からだの正面でボールを捕球できなくなってしまいます。
写真17の(2)のようにまず左ヒザを落とすと、大きくボールがそれた場合でも右足を踏み出しやすく、いろいろなボールにも対応しやすくなります。