ボールを投げるときの基本的な握り方は写真19のようになりますが、まず親指側から見た左側の写真をみると、人差し指と中指はボールをかぶせるように縫い目に当てます。
そして、親指は下からボールを支えます。この親指は第一関節で曲げ、ボール下側の縫い目に当てます。ボールと手のひらの間にはややすきまをあけ、手のひらを密着させません。
さらに、小指側からみると親指の当て方がよくわかります。小指と薬指はかるく握ります。
右側の写真は正面から見た状態です。
座ったままで勢い良くボールを投げるコツは、肘を肩より高く上げ、手のひらを返して外側へ開くと同時に、反対側の肩をピッチャー方向へ向けることです。
こうすることによって上半身がねじれ、肩から振り出すことができ、肘を前に出して手首のスナップが容易に使えるようになります。写真21は一般的なキャッチャーの返球モーションです。
写真22はやや独特なヤクルトスワローズOB古田選手のモーションです。
古田選手の場合は、手の甲をピッチャーに向けた状態でボールを頭上にもっていきながら、ボールを外へ向けるように手のひらをかえしていきます。体をひねることで自然に肘が外へ開き、反対側の肩がピッチャー方向へと回転し始めます。
ボールを頭のうしろで目一杯外へ向けた状態になれば投球姿勢の完成です。写真21と写真22がトップの位置ですが、古田選手のほうがトップの位置が高く、またその後の上半身のひねりも大きいのです。
古田選手のように高いトップと大きなうねりを使うとよりボールを強く投げられるようになります。いずれの場合も肘が外側へ開くこととボールを外へ向けるように手のひらを返すこと、および反対側の肩をピッチャー方向へ向けることが大切です。
実際に投げるときは上半身のねじれを使って肩から動かし、肘を前に出して手首のスナップを使って投げます。
スローイングのテイクバックで肘を肩より高く上げることはすでに説明しましたが、それは写真21のようにスムースな腕の振りを行うために重要であるからです。
肘が肩より高いと肘がスムースに前に出て、さらにその後、腕が伸びやすくなります。
肘が肩より下がった状態でスローイングを開始すると写真23のようにスナップをきかせようとすれば肘が逆戻りしてしまい、フォロースルーがうまくとれず、関節に無理な力が働きケガを引き起こします。
テイクバックで肘を肩より高く上げることは肘の障害予防のためにも重要です。